メンタルマジック・2vs2リプレイ
メンタルマジックをご存知でしょうか?メンタルマジックはマジックの対戦フォーマットの中でももっとも知的でエキサイティングなものだと私は信じています。メンタルマジックに必要なものは、その辺に転がっているカードの束を40枚ずつ山にしたものがプレイヤー分あればよいだけで、山の中身は土地、呪文、レアリティを問いません。あとはあなたのマジックに対する知識、そしてそれを有効に活用する知恵だけあればよいのです。
メンタルマジックの基本的なルールは、本サイトのメンタルマジックの概要を読んでいただければおわかりいただけるでしょう。ここではごくかいつまんでルールの説明をしておきます。
・使用可能エキスパンションをプレイヤー同士合意の下で決めておく。
・あらゆるカードは裏向きにプレイすることで好きな色のマナを出せる基本地形として場に出せる。
・あらゆる呪文カードはその総マナコストさえあっていれば、使用可能エキスパンション内でのあらゆるカードとしてプレイできる。
・一度「宣言」されたカードは2度と使えない。
以上です。例えば使用可能エキスパンションを「オデッセイブロック」とすれば、あなたの手札にある《灰色熊/Grizzly Bears(7E)》は《野生の雑種犬/Wild Mongrel(OD)》としてでも《集中砲火/Flame Burst(OD)》としてでも《チェイナーの布告/Chainer's Edict(TOR)》としてでも、さらには裏向きにしてあらゆる色マナを出す基本地形としてプレイしても良いのです!面白そうでしょう?
(ただし、オデッセイブロックでメンタルマジックを楽しむ場合、ルールによる規定でフラッシュバックやインカーネーションといった独特の能力は使用不可能になっています。
詳細はメンタルマジックの概要を)
以下、リプレイ内容:
リプレイではメンタルマジックの楽しさを味わってもらえるような紹介をすることが大前提なんだが、
今回はメンタルマジックにくわえてもう一つ変わったルールを採用した。
それが2vs2のフォーマット、TwoHeadedGiantだ。TwoHeadedGiantは訳すと「双頭の巨人」とでもなるのだろうか。
簡単に言うと2人でチームを組んで他のチームと対戦するという4人ゲームで、
1つのチームは40点のライフを共有し、各人は対面に座ったプレイヤーにしかアタックできないが呪文のレンジは自在、というところになる。
図を見ていただくと一目瞭然だろう。
ただし、メンタルマジックでTwoHeadedGiantを行うに際して、
具体的なカード名をやり取りするなどの相談は禁止である。
なぜわざわざTwoHeadedGiantのリプレイにしたかというと、
明らかに1vs1でやるメンタルマジックのゲームよりも面白かったからなんだ!
ではチームの紹介をしよう。
Aチーム
A1:佐々木
A2:はると(筆者)
Bチーム
B1:福駄
B2:べきべき
佐々木はメンタルマジック自体はじめてなのでやや緊張気味。
福駄はそこそこ数はこなしているがカード名を覚える癖が無いのでやや不安、という。
べきべきは普段私とメンタルマジックのスパーをよくこなしているので、経験者といえるだろう。
ターン1
A1:佐々木
ドロー1 セット土地
B1:福駄
ドロー1 セット土地 《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla(TOR)》プレイ
A2:はると
ドロー1 セット土地
B2:べきべき
ドロー1 セット《ナントゥーコの僧院/Nantuko Monastery(JUD)》
まずはそこそこの立ち上がり。Bチームが積極的な動きを見せている。
ターン2
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《炎の稲妻/Firebolt(OD)》を《日を浴びるルートワラ》にプレイ→福駄・《日を浴びるルートワラ》墓地へ
B1:福駄
ドロー1 セット土地
A2:はると
ドロー1 セット土地 《野生の雑種犬/Wild Mongrel(OD)》をプレイ
B2:べきべき
ドロー1 セット土地 《チェイナーの布告/Chainer's Edict(TOR)》をプレイ→はると・《雑種犬》墓地へ
各生物を各除去で屠りあう。メンタルマジック序盤の挨拶みたいなものだ。メンタルマジックでは一度使用されたカードは2度と使えなくなるので、有名で強力なカードはさっさと使っておくに限るのだ。
ターン3
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《幻影の虎/Phantom Tiger(JUD)》をプレイ
B1:福駄
ドロー1 セット土地 《藪跳ねアヌーリッド/Anurid Brushhopper(JUD)》をプレイ
A2:はると
ドロー1 セット土地 《霊気の噴出/AEther Burst(OD)》を《藪跳ねアヌーリッド》にプレイ→福駄・カードを2枚ディスカード→《藪跳ね》リムーブ
END of Turnに《藪跳ね》場に戻る
B2:べきべき
ドロー1 セット土地 《ひどい憔悴/Crippling Fatigue(TOR)》を《幻影の虎》にプレイ→佐々木・《幻影の虎》墓地へ
オデッセイブロック最強生物《藪跳ねアヌーリッド》登場。経験の差がここで出たか。メンタルマジックは経験者のほうが断然有利なのだ。
ターン4
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《幻影のケンタウロス/Phantom Centaur(JUD)》プレイ
B1:福駄
ドロー1 セット土地 《秘教の処罰者/Mystic Enforcer(OD)》プレイ
A2:はると
ドロー1 セット土地 《集中/Concentrate(OD)》プレイ→3枚ドロー
B2:べきべき
ドロー1 セット土地 《焚書/Book Burning(JUD)》を福駄にプレイ→はると・Pay6Life 《頭焼き/Skullscorch(TOR)》をはるとにプレイ→はると・Pay4Life(A・残り30Life)
”1”同士のクリーチャーがお互いに充実。《幻影のケンタウロス》はナイス選択だ。”2”同士はなんともマイペース。《焚書》は《秘教の処罰者》のスレッショルドを狙ってのもの。
ターン5
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《ナルシシズム/Narcissism(TOR)》をプレイ→マナコストの宣言を誤り、《ナルシシズム》墓地へ
B1:福駄
ドロー1 セット土地
A2:はると
ドロー1 セット土地 《アクアミーバ/Aquamoeba(TOR)》をプレイ
B2:べきべき
ドロー1 セット土地 《幻影のケンタウロス》に《説得/Persuasion(OD)》→佐々木・対応して《中略/Syncopate(OD)》→べきべき・《説得》打ち消される
メンタルマジックならではの光景、宣言時のミスにより佐々木のカードは打ち消された。このとき佐々木は《ナルシシズム》を2マナのカードとしてプレイしてしまった。メンタルマジックにおいては宣言したカードのマナコスト、能力などを正確に陳述できないと、そのカードのプレイは巻き戻されたり、打ち消されたりする(あまり厳密に適用しすぎることはゲームの趣を損ねるので、雰囲気を見ながらうまくやること)。特にマナコストの間違いは致命的でほとんどの場合打消しになるだろう。
べきべきの《説得》に対しては佐々木の《中略》が炸裂。にしても1Xなんてコストのカードをよく手にしていたものだ。
ターン6
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《ミラーリの目覚め/Mirari's Wake(JUD)》をプレイ 《幻影のケンタウロス》でアタック→福駄《藪跳ね》でブロック→2枚ディスカードで《藪跳ね》リムーブ→捨てたカードのうち1枚をマッドネス宣言《尊大なワーム/Arrogant Wurm(TOR)》をマッドネスプレイ→はると・対応して《アクアミーバ》で1枚ディスカード&マッドネス宣言で《堂々巡り/Circular Logic(TOR)》を《尊大なワーム》にプレイ→福駄・《尊大なワーム》打ち消される
END of Turnに《藪跳ね》場に戻る
B1:福駄
ドロー1 《藪跳ね》と《秘教の処罰者》でアタック→はると・対応して《アクアミーバ》で1枚ディスカード&マッドネス宣言で《癇しゃく/FieryTemper(TOR)》を《秘教の処罰者》にプレイ→福駄・対応して《藪跳ね》で2枚ディスカード→《藪跳ね》リムーブ→福駄・墓地が7枚になり、《秘教の処罰者》が6/6に(はるとの《癇しゃく》で死なず)→A・6ダメージ(残り24Life)
END of Turnに《藪跳ね》場に戻る
A2:はると
ドロー1 《朝明け/Morningtide(TOR)》をプレイ(《秘教の処罰者》3/3に)
B2:べきべき
ドロー1 《激発/Violent Eruption(TOR)》プレイ→《アクアミーバ》に3点、《幻影のケンタウロス》に1点→はると・《アクアミーバ》墓地へ、佐々木・《幻影のケンタウロス》のカウンターを一つはずす
大きく動いたターン6。佐々木の《ミラーリの目覚め》はさすがオリジナルデッキを構築した際に使用していただけのことはある。《幻影のケンタウロス》が死ななくなり、かつ使えるマナは無尽蔵だ。対する福駄はマッドネスで《尊大なワーム》をプレイ。実はこの際に同時に《癇しゃく》もプレイしようとしたのだが、カード名が思い出せず無念の墓地行き。
ターン7
A1:佐々木
ドロー1 《顔なしの解体者/Faceless Butcher(TOR)》をプレイ→《藪跳ね》をリムーブ 《幻影のケンタウロス》でアタック→福駄・スルー→5ダメージ(B・残り35)
B1:福駄
ドロー1 《秘教の処罰者》でアタック 佐々木・スルー(《顔なしの解体者》は《ミラーリの目覚め》で3/4になってはいるが、《秘教の処罰者》はプロテク黒)→3点ダメージ(A・残り21Life)
EndofTurnに、はると・《のぞき見/Peek(OD)》をべきべきにプレイ→ドロー1
A2:はると
ドロー1 4マナで何かをプレイ?
B2:べきべき
ドロー1 セット土地 《激動/Upheaval(OD)》をプレイ→佐々木・対応して《種蒔き時/Seedtime(JUD)》プレイ→《激動》解決→《藪跳ね》が場に戻る(《顔なしの解体者》が《激動》で場を離れたため)
ゲームの転換期となったターン7。べきべきの《激動》もさることながら佐々木の《種蒔き時》も圧巻。
このとき佐々木は必死でカウンター呪文を模索していたようだった。
ゲーム後にわかったことなんだけど2マナ域には《拒絶の儀式/Rites of Refusal(OD)》があったんだよね。
ところがもっと大切なのは、本当は《種蒔き時》は自分のターンにしか打てないということ。
これがゲーム中は誰も気が付いていなくて《最後の賭け/Final Fortune(MI)》系の解決の仕方をしてしまったんですな。
メンタルマジックならではのミスというかなんというか。ま、当然ゲームは続きます。
ターン8
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《カーターの願望/Kirtar's Desire(OD)》を《藪跳ね》にプレイ
A1:佐々木(《種蒔き時》の追加ターン(ほんとは間違いだけど))
ドロー1 セット土地
B1:福駄
ドロー1 セット土地
A2:はると
ドロー1 セット土地 《拒絶魔道士の代言者/Spurnmage Advocate(JUD)》をプレイ
B2:べきべき
ドロー1 セット土地
激動後の展開に皆四苦八苦。とりあえず《藪跳ね》をとめて一安心。
ターン9
A1:佐々木
ドロー1 セット土地
B1:福駄
ドロー1 セット土地
A2:はると
ドロー1 セット土地 《拒絶魔道士の代言者》でアタック→べきべき・スルー→1ダメージ(B・残り34Life)
B2:べきべき
ドロー1 セット土地
まったりとした時間が流れる。
ターン10
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《よろめく大群/Shambling Swarm(TOR)》をプレイ
B1:福駄
ドロー1 セット土地 《無垢の血/Innocent Blood(OD)》をプレイ→福駄・対応して2枚ディスカードで《藪跳ね》をリムーブ→はると・対応して《藪跳ね》に《恐ろしい死/Ghastly Demise(OD)》→福駄・《藪跳ね》を墓地へ→《無垢の血》を解決→はると・《拒絶魔道士の代言者》を墓地へ、佐々木・《よろめく大群》を墓地へ
A2:はると
ドロー1 セット土地 《シートンの斥候/Seton's Scout(TOR)》をプレイ(スレッショルド)
B2:べきべき
ドロー1 セット土地 《熊人間/Werebear(OD)》をプレイ(非スレッショルド)
あわせて4枚のカードリソースを失った福駄はここで失速。メンタルマジックではカードアドバンテージが最大のエンジンとなる。《野生の雑種犬》もこの環境では構築ほどの活躍はできないだろう。筆者も《シートンの斥候》より先に《熊人間》だろう!と大ボケ。
ターン11
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《綿密な分析/Deep Analysis(TOR)》をプレイ→ドロー2
B1:福駄
ドロー1 セット土地
A2:はると
ドロー1 セット土地 《シートンの斥候》でアタック→べきべき・スルー→4ダメージ(B・残り31) EndofTurnにべきべき・《予報/Predict(OD)》を自分のライブラリを対象にプレイ・宣言は《海の要求/Sea's Claim(ONS)》→はずれてドロー1
B2:べきべき
ドロー1 セット土地 《熊人間》でアタック→1ダメージ(A・残り20Life) 《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator(OD)》をプレイ
チームAがカード差で盛り返してきた。
ターン12
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《降り注ぐ塊炭/Shower of Coals(OD)》をプレイ→《熊人間》、《影魔道士の浸透者》、本体に2点→べきべき・《熊人間》墓地へ、2ダメージ(B・残り29) 《溶岩の投げ矢/Lava Dart(JUD)》を《影魔道士の浸透者》にプレイ→べきべき・《影魔道士の浸透者》を墓地へ
B1:福駄
ドロー1 セット土地
A2:はると
ドロー1 セット土地 《ケンタウルスの酋長/Centaur Chieftain(TOR)》をプレイ→《シートンの斥候》と共にアタック→9ダメージ(B・残り20)
B2:べきべき
ドロー1 セット土地 《サイカトグ/Psychatog(OD)》をプレイ
チームAが大きく動く。ダメージレースも互角になり、場もAが優位となってきた。
ターン13
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《取り憑かれたエイヴン/Possessed Aven(TOR)》をプレイ 《集中砲火/Flame Burst(OD)》を本体にプレイ→2ダメージ(B・残り18)(スレッショルド)
B1:福駄
ドロー1 セット土地
A2:はると
ドロー1
B2:べきべき
ドロー1 セット土地 《限界点/Breaking Point(JUD)》プレイ→はると・Pay6Life(A・残り14)
佐々木が《サイカトグ》の天敵、《取り憑かれたエイヴン》をプレイ。しかし、サイカトグには一撃必殺があるため不気味。Lifeもお互い(A・14、B・18)緊迫してきた。
ターン14
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《取り憑かれたエイヴン》でアタック→4ダメージ(B・残り14Life)
B1:福駄
ドロー1 セット土地 《ナントゥーコの影/Nantuko Shade(TOR)》をプレイ
A2:はると
ドロー1 《死を食うもの/Mortivore(OD)》をプレイ
B2:べきべき
ドロー1 セット土地 《生ける願い/Living Wish(JUD)》をプレイ→リムーブゾーンから6マナのクリーチャーカードを手札に
場は完全にチームAの手に。しかし、福駄も《ナントゥーコの影》をプレイし、べきべきは必殺の6マナ域のカードを手に。盛り上がってくる最終幕。
ターン15
A1:佐々木
ドロー1 セット土地 《震央/Epicenter(OD)》をプレイ→はると・対応して《包み込む炎/Engulfing Flames(OD)》を《ナントゥーコの影》にプレイ→福駄・《ナントゥーコの影》をパンプアップ→《震央》解決 《取り憑かれたエイヴン》でアタック→4ダメージ(B・残り10Life)
B1:福駄
ドロー1 セット土地 《ナントゥーコの影》でアタック→2ダメージ(A・残り12)
A2:はると
ドロー1 《シートンの斥候》+《ケンタウルスの酋長》+《死を食うもの》でアタック→べきべき・《サイカトグ》で《死を食うもの》ブロック→べきべき・《サイカトグ》墓地へ、7点ダメージ(B・残り7)
B2:べきべき
ドロー1 セット土地
もはや完全にチームAが優勢。べきべきも《震央》のせいで《カーターの怒り/Kirtar's Wrath(OD)》に届かず。
ターン16
A1:佐々木
ドロー1 《取り憑かれたエイヴン》でアタック→《筋力急伸/Muscle Burst(OD)》をプレイ→チームB投了
いかがでしたか?読んでいる分には通常の2vs2の試合を見ているだけのようにも見えますが、実際にやってみると、手札のカードのマナコストに該当するカードしかチョイスできない&カード名が思い出せない、など、もどかしさでいっぱいなのです。
また、普段使わないようなカードで相手の度肝を抜いたり場を一変させたりすると爽快ですよ。
この試合では《震央/Epicenter(OD)》が大きくゲームを左右しましたが、こんなカード通常は見ませんよね。
メンタルマジックはあなたの知識と知恵を総動員することで、今までとは違ったマジックの楽しさをあなたに教えてくれることでしょう。
機会があれば是非試してみてください!
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