オンスロート・ドラフト雑感

〜システム野郎に要注意!!〜

■はじめに
 さて、オンスロートが発売されて3ヶ月。 GP宇都宮やそれ以外の限定戦の結果を受けてだいぶ限定戦の際のデータはそろってきているかな? 本誌は残念ながら時期的な要因で最新情報をお届けするわけにはいかない(いけない)ので、ちょっと別なアプローチからオンスロートの限定戦環境を解体していってみようと思う。

■オンスロートの特徴
 オンスロートの特徴でもざっと見ていこうか。

□種族
 さて、オンスロートといえばもっとも特徴的なのが"種族"だ。 まぁそんなこた誰でも知ってるとは思うんだけどね。かのGary=Wise先生のカード評論も色ごとじゃなくて種族ごとに区分けされてるのは、インターネット上である程度情報を集めている人なら承知の上だろう。 種族を固め取りすることによって各Charmや、ある種族だけを強化するカードの威力が倍増するってことは念頭に置いておくべきだ。 ただ、実際はそうあんまり意識することは少ないんじゃないかな??
 何も考えずに緑やってりゃBeastで固まってくるし、いくらBeastデッキだからってElvenRider回ってくりゃ即取りするよね。Clericを主軸にドラフトしてたってGustcloakHurrier(3マナ2/2飛行BirdSoldier)は重要カードだ。 それに各Charmたってどうせ最後のほうにまで回ってくることは明白なんだから何も早い順目でとらなあかんてわけでもない。 要は念頭に置きつつスパイス風味を効かせたドラフトが肝要ってことかな。 序盤は素直に点数の高いカードを取りつつ、中盤では種族シナジィを重要視する、とか。 種族が大事=種族カードをファーストピック!ってわけじゃないってこった。 ただ、この辺のバランス感覚が今までのブロックに無かった難しいというか興味深いというか、味のあるところなんだよな。 たとえば自分がSoldierデッキだった場合、どの辺でUnifiedStrikeをとりに行くべきか、なんつーのは案外奥の深い問題かもしれない。 おそらくはある程度構築時のことも考えながら中盤のピック戦をしていく必要があるんだろうな。ある程度点数の高いカードが溜まってきたら通常ならとりあえず取っておくような中堅クリーチャーをすっ飛ばしてあえて種族カードを取りに行く、みたいな。 今までにClericが8体取れているからDoubtlessOneは取っておくかとか、Imagecrafterが順調に集まっているようだったら各種Charmの優先度をやや上げるとか。
 所詮種族カードてのは「シナジィ」が必要とされるので、単体で効果を発揮するファッティやアドバンテージ除去にはかなわないだろう。 でもデッキ構築のトータルとしていかにシナジィが組み込まれているかが、デッキ自体のパフォーマンスを底上げすることになる。 だから「種族」って一言に言っても難しいんだなーこれが。
 この辺のバランス感覚を是非味わって欲しい。(解説になってないじゃん!!!)

□コモン爆弾
 この環境にはコモンカードに明らかな爆弾カードがある。 オデッセイ環境にも強いコモンというのは存在したが、爆弾とまでいえるほどのカードはなかったような気がする。
・Sparksmith 比較対照 Chainfringer
・Wellwisher 比較対照 Tero'sFaithful?
の2種類だ。
 Sparksmithは除去できない限り、特に序盤に圧倒的なボードコントロール力を見せる。 1ターン目に1マナゴブリン。2ターン目にSparksmithと展開されると除去力がない相手はほとんど盤上の支配権を握られる。 こうなったらもはやタフネスが異常に多い緑クリーチャーで押し切るか、Clericの軽減能力でのらりくらりとかわしていくしかない。 オデッセイ環境に存在したChainfringerに比べると、マナ域の軽さ、口径の大きさ、炸薬の少なさ(砲撃にマナがいらない)などから比べるまでもない性能を持っているといえる。
 Wellwisherは防御的なカードで、こいつを出されたからといって盤上を支配されるといったことはない。 ただ、除去のないデッキを使用しているときにこいつの能力が回り始めたときの精神的なプレッシャーは相当なものだ。 というよりその半端でない回復力により出したほうは負けることが無くなるといっても過言ではない。 ただしWellwisherの活躍を前提としたデッキでは、膠着を打破するようなENDカードか、確実にクロックのかけられるクリーチャーが必須となるだろう。 オデッセイ環境に存在したTero'sFaithfulは、Wellwisherに比べると「時間稼ぎ」といった側面が強かったがWellwisherはそれ以上に「ゲームに敗北しなくなる」といった特性をもつと考えられる。 2マナのカードでライフが50以上まで膨れ上がられてはたまったものではないだろう。

□除去
 この環境には除去カードが明らかに少ない、というか偏っている。 特に白に除去の多かったオデッセイと比べるとよくわかるだろう。また青もバウンスの減少という意味で除去力を失っている。 端的に言うと除去は黒と赤の専売特許ということができる。
  ※コモンでのオデッセイとの比較
オデッセイ オンスロート
Kerter'sDesire
SecondThought
Pasifism
(UnifiedStrike?)
AEtherBurst
Repel
なし
PatrichDesire
GhastryDemise
Affrict
ZombieAssassin
CrownOfSuspision
CruelRivival
Swat
Festering Goblin
(ProfanePrayers?)
(MiseryCharm??)
Firebolt
FlameBurst
AcceptableLosses
Chainfringer
BarbarianLunatic
ThermalBlast
(BlazingSalvo?)
Shock
SolarBlust
PinpointAvalanch
ErraticExplosion
Sparksmith
Lavamancer's Skill
(SkirkCommando?)
(FeverCharm??)
実際に上げてみると黒と赤はオデッセイに比べても遜色のない除去を有していることがわかる。
ただし、オンスロート黒に関してはCruelRivivalの優秀さが飛びぬけているもののその他の除去の汎用性が薄く、これが後述する「ファッティが強い環境」を後押ししている。
赤に関してはオデッセイと比べるとやや落ちるものの、そこそこのラインナップはそろっているといえる。

   さて、これらのことを踏まえて2つ程注意しておかねばならないことがある。

1.タフネス5を越えるクリーチャーを除去する手段がCruelRivivalとPasifismしかない
 これは本当に難儀な問題で、結果としてピットファイターレジェンドや緑の巨大クリーチャーを真のENDカードに押し上げている原因となっている。 つまり「ENDファッティはホントにENDカード」というオンスロートの特性が浮き彫りになる形になっているということだ。 これらのカードに対処するにはカードアドバンテージを失うことを覚悟で臨むしかないのである。 また、相対的にCruelRivivalの有用性があがることになる。 次であげる2のことも踏まえてタッチ黒でCruelRivivalを投入する価値は十二分にあるということだ。

2.システムクリーチャーへの対応
 「爆弾系のコモンが存在する」オンスロート環境では特に除去の有用性は増すことになる。 しかし黒、赤にしか除去がないということをかんがみると、

赤、黒のどちらかが入っていないデッキはありえない!

と言うことができる。
「何をバカな!」と思われる方も多いと思うが、これが私のオンスロート環境での限定戦の「Theルール」だ。 特に除去の色マナが薄い赤は大切だ。現環境では赤が最強色との評価が高い。
 しかし、実際問題として赤を総取り、もしくは主軸にできることは少ないだろうと考えられる。
赤は「みんなで分け合う大切な資源」なのだ。 例え主軸が青白や緑白になるとしてもタッチでShockやCruelRivivalをくわえるという心構えを忘れてはならないだろう。
逆に黒は主軸のSwatの色マナが濃く、信頼できる除去がCruelRivivalだけなのでタッチでくわえる候補としては赤よりはやや落ちるだろう。

□マナカーブ
 Morphという独特のルールによって、この環境内でのマナカーブは3マナ域に偏ることになる。 またマナカーブ以外にもMorph戦略とも言うべきものによってMorphでの使用が90%確約されたカードを投入する必要が出てくるだろう。
 Morph戦略の代表的なものは赤のSkirkCommandoとBatteringCraghornの2拓などが上げられる。 また、WhipcorderやExaltedAngelといった殺されたくないMrophを隠すための手段として囮となる弱Morphを先出しして除去されないか様子を見る、等もMorph戦略としてあげられるだろう。 またMorphカードのもう一つの利点としてタッチで入れやすいというものがある。たとえば青黒などのクリーチャーサイズに問題がありそうなデッキにはタッチでSpittingGolnaを入れるという選択肢は魅力的なものになるだろう。 ただそう考えると、3マナ域以外のカードにも注目しなくてはなくなる。 Morph戦術が動き出すまでの1,2マナ域で確実に戦線を構築できるGlorySeekerやElvishWarrior、WrechedAnurid(私はあまりお勧めしないが)はマナカーブを構築する上で大切なカードになるだろう。 4マナ域以降のカードに関してはMorphカードのコストが4以上ならそれに勝るマナカーブはない。 それと低マナ域でタフネスが3以上のカード(GravelSlingerやMistformWall)はMorphクリーチャーとのぶつかり合いの関係で重宝するだろう。
んー、これも解説になってないな・・。

■その他のこと
 なんだか体系的に説明しているとうまく物が言えないので、雑感的なことを列挙していこう。

□緑赤は卓に2人くらいいても安定、青白or白緑はタッチで赤を
 バランス的に緑赤は鉄板だろう。カードプールが豊富なので多少上家、下家とかぶっても押し通せばそれなりのデッキが出来上がる。 この組み合わせは2色で十分だ。逆に苦しいのが青白、緑白。この組み合わせはしゃかりきになってタッチで赤を散らそう。 CruelRivivalが取れそうならタッチ黒でも良い。

□青赤について
 青赤はもっともトリッキーな組み合わせであり、潜在能力はある。 爆発すれば全勝も可能だろう。ただし、序盤から青赤を狙ったカードピックが必要となる。とにかく必要なのは、
・ImageCrafter
・AscendingAven
・MisformWall
・Lavamancer'sSkill
・FeverCharm
・SkirkCommandoとCrafityPassMage
上記のコモンカードだ。これらはあればあるほど良い。
特にキーとなるのはImageCrafterだ。入れすぎるとデッキのパフォーマンスが低下するが、青赤のエンジンとなる種族シナジーのキーとなるカードなのでこれがないと何もできない。
基本的に膠着戦に陥るのでフィニッシャーとなる飛行系カードか、Wave of Indifferenceは必須となる。詳しくは本誌のオンスロートドラフト日誌を参照して欲しい。

□青黒、赤黒、赤白はタッチでMorphを
 これら3つの組み合わせはクリーチャーのサイズで苦戦する可能性がある。 SpittingGolnaやBarkhideMaulerなど、タッチでくわえられる緑のファッティをくわえるのは悪い選択ではないと思う。
この中の組み合わせで赤黒で組めるとはそうは思えないが、万が一組めた場合は低マナ域にカードを集中させ、スーサイド超速攻の腹積もりでデッキを構築しよう。

□DaruLancer
 こいつは序盤の場を支配するだけの能力を持っている。4マナ域のカードとしては全体を見回しても無敵といって過言ではない。白の序盤はこいつを中心に考えると共に、相手が白でMorphクリーチャーでアタックしてきたときには真っ先にこいつを警戒せざるを得ないだろう。・・・とはいっても対策方法なんて無いんだけどね。

□SkirkCommandoとBatteringCraghorn
 有名なMorphカードの2拓。相手が赤で4ターン目にMorphクリーチャーでアタックして来た場合、自分のMorphクリーチャーでブロックすべきか、スルーすべきか、というもの。以前サイドボード・オンラインのページで有名プレイヤー達が談義していた結果では、「ブロックして相手にマナを使わせてテンポアドバンテージ取得を目指すのがいいのでは?」ということ。ただ個人的にはブロックした方がいいと思う。ブロックすれば必ず相手のMorphの正体が明らかになるから。もちろんこれに関しては「答え」はないだろう。「読み」(若しくは運?)が重視される、マジックの新しい駆け引きだ。

□ReelyFogbeast
 3マナ4/2と、攻撃的な能力を持ちつつもブロックされると否応無しにFogが発生するという珍妙なクリーチャー。ナイスブロッカーとして積極的に採用できる、という案と、ビートダウンできない時点でダメ、という2つの案がある。個人的にはデッキを選べば採用する価値はあると思う。採用できるデッキとは「除去を多めに取れた」緑赤、若しくは緑黒。というのは、ブロッカーを排除できる能力が高いデッキにはうってつけの能力だといえるからだ。除去の少ないホードビートダウン(クリーチャーを並べて押し切るタイプ)系や緑白、緑青系のデッキには入れても魅力半減だろう。ただ、開き直ってナイスブロッカーとして採用するならそれもよしだが、筆者はそのような防御的なカードを好まないのである(某本よりパクリ)。

□MistformWall
 壁。しかし、青をやるならこの壁は必須である。青は中盤以降の種族変えギミックが働き始めるまでとにかく耐えなければならないので、ビートダウンに対する耐性というものにカードを費やす必要があるのだ。この1/4クリーチャーは序盤は擬似Pasifismとして3/3程度のスペックのクリーチャーを無力化し、中盤以降はLavamancer'sSkillがついて砲台と化したり種族変えギミックの中核をなす。おまけに暇なときには壁以外のクリーチャーになってアタックも可能ととにかく優秀。青をやるなら多少の無理をしてでも集めておこう。

□SpittingGolna
 緑の標準的対空兵器+Morphギミックというナイスガイ。これでMistformDreamerあたりを叩き落とせると気持ちがいい。おまけに色マナも薄いのでタッチで入れやすいことも魅力。緑やるならまず間違いなく取れた分だけ採用して間違いではないが、他の色にもタッチで入れることのできる汎用性を持つ。自分が白赤や青黒など、たたサイズに問題があるなーと思えるときはピックしてタッチ採用を考えてみてはどうだろうか?

□BarkhideMauler
 これも緑以外でもタッチ採用できるナイスガイ。ただし、緑が主力のデッキなら安易にサイクリングしないほうがいい。4/4のサイズはこの環境ではかなり有用だ。逆にタッチ採用してる場合は即サイクリングで間違いないだろう。4/4のサイズはかなり魅力ではあるが、引けるかどうかわからないデッキに2,3枚の森を期待して取っておくのはあまり得策ではない。逆に中盤以降で森が引けてるときにトップデッキできたときには涙が出るほどありがたいと思う。汎用カード。

■総括(っぽいこと)
 書いててうまくいえない。ゴメン。ただ、

数ある除去を大切に

ということを念頭においてカードをピックしていこう。これだけはいえると思う。あと異色な「青赤」戦略をやるときは最初から「超決め打ち」が必要かな。なかなかに楽しいギミック満載な組あわせなので是非試してみて欲しい。
 ではレギオン以降のリミテッド考察でまたあいましょう!(見捨てないでね!!)

戻る