スカージ環境考察(その1)


スカージ!
 次なる新エキスパンション・スカージの足音がひたひたと迫ってきました。 ネットでの先行情報を見ている限り「重いパワーカードがテーマ」のエキスパンションセットだといえそうです。 新メカニックは「ストーム」「(土地)サイクリング」。共にこのテーマに密接したメカニックです。 限られた情報の範囲内ですがスカージというエキスパンションの特色を考察してみましょう。
※本コラムで記述している新カードに類するものは不確定な情報源から得たものです。必ずしも「スカージ」に収録されるとは限らないので注意してください。

メカニズム
 スカージの先行情報を眺めていれば誰でも「重いカードが主役なんだな」くらいはわかるでしょう。 とにかくカード名に”ドラゴン”がつくカードが多いこと。まずWoC社の意図を推測する形でスカージのメカニズムを検証してみましょう。

■■■ストーム■■■
「この呪文をプレイしたとき、このターンにこれ以前にプレイされた呪文1つにつき、この呪文を1つコピーする。あなたはそのコピーの対象を新たに選んでもよい。」


 ・・・ソーサリーの「ストーム」に関して言えば「マナ(とカード)をつぎ込めばつぎ込むほどパワーが増しますよ」といってるのと同じです。 意味合い的には若干のズレがありますが前記のように考えて間違いないでしょう。ストーム呪文を使う前に自分で他の呪文をプレイすればするほど威力が増すのですから。 つまり「重いカードが主役」というこのセットの特色を別な形で体現しているシステムといえます。
 ただし、「ストーム」に関してはこれだけではありません。インスタント呪文に関する駆け引きというもう一つの側面もあります。
例えば先行情報内の以下のカードでの例。

Wing Shards
1WW
Instant
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは攻撃クリーチャーを1体生け贄に捧げる。

≪例≫
プレイヤーAがクリチャー1、2で攻撃
プレイヤーBはスルー
プレイヤーAが《活力の魔除け(ONS)》をクリーチャー1にキャスト
プレイヤーBは対応して≪Wing Shards≫をキャスト

こうなった場合、Aは普通に≪Wing Shards≫をキャストされた状態よりも2枚分のカードアドバンテージ(ストーム分のサクリ効果と《活力の魔除け》分)をとられる事になります。
もう一つ、以下のカードのケースを考えてみましょう。

Sprouting Vines
2G
Instant
あなたのライブラリーの中から基本地形カードを1枚探して、それをすべてのプレイヤーに公開し、あなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す。

プレイヤーAが変異をキャスト
プレイヤーAが《ゴブリンの監督官(ONS)》をキャスト
プレイヤーBが≪Sprouting Vines≫をキャスト

・・・この場合、プレイヤーBは都合3枚もの基本地形を持ってきて手札に加えることができます。
強いじゃん、と思われがちですが、「ストーム」を期待して3マナ残してENDしたのに相手が一つも呪文をキャストしなかった場合、効果の薄さは言わずもがなです。

また相手ターンのうちにインスタントを使用することも少しためらわれます。無償で相手の「ストーム」ソーサリー呪文を強化することになるのですから。
 こうして考えてみるとさまざまな駆け引きが楽しめそうな「ストーム」呪文。 相手の「ストーム」に警戒しつつ、こちらの「ストーム」呪文を最大限に生かす機会を逃さないようなプレイを心がけましょう。

■■■(土地)サイクリング■■■※(土地)は”平地、島、沼、山、森”の5種類のうちのどれか
例:森サイクリング
「{コスト},このカードを手札から捨てる:あなたのライブラリーから森を1枚探し、それを公開してあなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す。」

・・・要は、「このカードを捨てて2マナ払うと土地持ってこれるよ」というものです。なぜWoC社はわざわざこのような限定サイクリング能力を作ったのでしょうか? 答えはマナサポートです。つまり「おまえら重いカードを使えよ!」と。 こういいたいわけです。また、3色目の(土地)サイクリングカードを投入することでタッチ3色目を円滑にサポートすることも可能です。
以下の先行情報カードの例を見てみましょう。

Elvish Aberration
5G
Creature - Elf Mutant
4/5 
森サイクリング(2)
Tap:あなたのマナ・プールに{GGG}を加える。

6マナ4/5では普通のパフォーマンスですが、序盤にサイクリングすることでマナのすべりを円滑にすることができます。

また、想像ですが(土地)サイクリングカードのコストは全て”2”なのではないでしょうか? つまり変異から始まるオンスロブロックの空白の2ターン目を埋めてくれるナイス能力ではないのかと。
 (土地)サイクリング、侮れません。限定戦では採用する価値はあるでしょう。

スカージの運用方法
 「プレリごときにマジになるなよ」とツッコミが入りそうですが、せっかくですからセット全体の特色も交えて検証していきましょう。 プレリリース大会のフォーマットはオンスロート・トーナメントパック1、スカージ・ブースターパック3です。 当然ながらスカージの比率が大きく、スカージ独特の戦略が必要になります。
 まずカード全体が重いということは、「重いカードを採用せざるを得ない」ということを意味します。あたりまえのことですが。 そして重いカードを使う必要があるということはマナブーストの役割の比重が大きいということ。 つまり緑の《ワイアウッドのエルフ/Wirewood Elf(ONS)》、《爆発的植生/Explosive Vegetation(ONS)》、《エルフの案内/Elvish Guidance(ONS)》、《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ONS)》の価値が高まったということです。メカニズムの(土地)サイクリングも見逃せません。 土地を並べれば並べるほど優位に立てるのが「スカージ」環境なのです。
 「スカージ」入りの限定戦デッキを構築する場合、高パワー高マナ域の勝負カードを選別する目もさることながら、「マナサポートカードと土地の比率」を滑らかに構成することが必要となります。 特に(土地)サイクリングはデッキを圧縮して勝負カードを手にする確率を高めつつ土地を場に並べることができます。 あまりにも(土地)サイクリングカードばかりではテンポを損ねる恐れもありますが、(土地)サイクリングカードの大半は高パワー高マナ域クリーチャーだと予測できるのであまり不安はありません。 後半はデカクリーチャーとして活躍してくれそうです。
 まだフルスポイラーも出ていない状況下で新エキスパンションを語るなどおこがましい事ですが、新たな情報が入り次第スカージ環境についての考察を行っていこうと考えています。 とりあえず今回のまとめを。

まとめ
・限定戦ではマナサポートのある分緑が有利(っぽい)
・(土地)サイクリングカードは使える(っぽい)
・「ストーム」トリックを最大限活用できるようシミュレートを行っておく


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