俺とFlyingBlue
FlyingBlueとは主にマスクスブロックに存在する低コスト高パワーの飛行クリーチャーによるビートダウンデッキのことである。
一般的にはRisingWaterを搭載したアグロウォーターと呼ばれるタイプが主流であるが、ここでは私がFlyingBlueを構築した経緯などをまとめてみたいと思う。
私がFlyingBlueを作ろうと思い立ったのは2000年の5月頃。
マスクスブロックの最後のエキスパンションであるプロフェシーが出る直前あたりである。その頃にはまだマスクスブロック限定構築の大きな大会も催されておらず、アグロウォーターなどという言葉も無かった。
きっかけはRishardanAirshipを見たこと。3マナでパワー3、しかも飛行というのは当時の「単色ビートダウンといえば緑」という常識からみても遜色の無いパフォーマンスのように思えた。
また絵も私のお気に入りの一つで是非こいつを使ってデッキを組んでやろうと考えたのだ。
実はFlyingBlueに限らず、青のパーマネント拘束力と大きなダメージ源という組み合わせではいくつかデッキを構築しており、その大半にRishardanAirshipを採用したのも事実である。
またRishardanAirshipをはじめ、IndenturedDjinnやCloudSpriteなど、MMには非常にアグレッシブな青の飛行クリーチャーが多かった。またMMから本格的にマジックをはじめた私にとって、ほとんどがMMのカードで構成できそうなFlyingBlueは魅力的なテーマの一つだった。
■FlyingBlue ver1.0
4:TrickstarMage
4:CloudSprite
4:CloudSkate
4:CroudofFearies
2:MetathranSoldier
2:WaterfrontBouncer
4:RishardanAirship
2:ThornwindFeary
4:CounterSpell
4:Daze
3:CoastalPilasy
23:Island
クリーチャー数26。
正確なレシピは残っていないが、カウンター無しのバージョンも存在した。
CrisMageなど天敵も存在したが、当時はスピードにおいて青茶単を凌駕した。
この頃はまだDazeもほとんど無警戒だったので、2ターン目のGrimMonorisや4ターン目のRewindをDazeでカウンター出来たときには大概勝利できた。
やがて研究が進み、プロフェシーのSpiketailHachiling、Foilを発見するまでそう時間はかからなかった。
■FlyingBlue ver1.1
4:CloudSprite
4:CloudSkate
4:SpiketailHachiling
4:CloudofFearies
4:RishardanAirship
3:DrakeHachiling
4:CounterSpell
4:Daze
3:Thwart
3:CoastalPilasy
23:Island
これは確か2000年秋頃のレシピだったと思う。
ただ、まだインベイジョンブロックは出ていない。このちょっと前に行われたマスクスブロック限定構築戦でアグロウォーターが大きな戦果をあげたのだった。
これはちょっとした衝撃だった。このMBC(マスクスブロック限定構築戦)に参加した上位レシピには私のFlyingBlueにそっくりなデッキが多数見うけられるではないか?
StrongholdZeppelinやTroublesomeSpilitといった大型クリーチャーは見うけられないものの、CaostalPilasyやRishardanAirshipといったクリーチャー戦力、何よりコンセプトそのものがそっくりだったのだ。
そうか、自分の方向性は間違っていなかった。FlyingBlueのver1.0からはや3ヶ月。マイナーチェンジを繰り返していた私のデッキはかなり変化した。
だが何よりも世の中のトッププレイヤーといわれる人達も同様のコンセプトでデッキを構築していたのだ。
実はこのデッキの進化系には半信半疑で、心の中では「ファンデッキとまりだ」というのが常にあった。
だから7月にあったローカルな大会にもこのデッキでは出なかった。
このデッキは強い、という思いが無かったわけではないが、世の中に出ていないようなデッキは弱いに違いないという情けない固定観念があったのも事実だ。
しかし、この事件以降多少なりとも自分の構築したデッキを信じることが出きるようになった。
明確なコンセプト、シナジィの考慮、マナカーブの配分、勝ちパターンのシミュレーション。これを怠らなければ一介のプレイヤーである自分にも強いデッキは作れるのだ。
■FlyingBlue ver1.2
4:CloudSprite
4:CloudSkate
4:SpiketailHachiling
4:CroudofFearies
4:RishardanAirship
4:DrakeHachiling
4:Daze
3:Thwart
3:CoastalPilasy
4:PallaraxTide
22:Island
PallaraxTideを入れてみたのはホンの偶然だった。
たまたま手元に4枚そろったのだ。しかし、この瞬間から勝率は2割ほどアップしたような気がする。
おそらくRisingWaterを張ったときのような拘束力なのだと思う。
しかも大パワー飛行クリーチャーを満載したこのデッキなら、Tideで拘束できる2,3ターンという時間は相手を倒すのに十分だった。
なにより世間であまり認知されていないPallaraxTideの力に気がつけたのが大きかった。
また世間で流行ってる流れに逆らいたいという意思もあったとおもう。
私のFlyingBlueには今のところRisingWaterが搭載された経歴は無い。
やがてカウンター呪文にFoilが搭載されたバージョンに進化したが、今のところこのバージョンでは大きく他のデッキに勝ち越していたと思う。
■FlyingBlue ver1.3
4:CloudSprite
4:CloudSkate
4:SpiketailHachiling
4:RishardanAirship
4:DrakeHachiling
2:TroublesomeSpilit
4:Daze
2:Thwart
2:Foil
4:AnkofMishura
4:PallaraxTide
1:RathEdge
21:Island
このバージョンアップは残念ながら私のアイディアではない。本来相性の良いはずのAnkofMishuraになぜ目が行かなかったといわれれば、それはこのデッキはコンボデッキではない、という固定観念のせいだろう。
こういう硬直した思想からは解放されねばならない。いずれにせよ強力なダメージエンジンを追加したことでこのデッキはかなりアグレッシブな構成になったといえる。
今のところ勝率も悪くない。が、6thのスタンダード落ちと共にこのコンセプトは使えなくなる。
7th、そしてアポカリプス以降のカードを使用してFlyingBlueをどのようにして環境に適応されるかが問われてくるだろう。
***今この記事を目にすると、当時の自分がいかにデッキ構築というものについて考察をめぐらし、時間と知恵を注いでいたかが分かる。
今ではこれほどの心血を注いだデッキは無いように思う。
この魂を忘れてはいけない、そう思えてならない。***
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